スマホサイトのデザイン・作り方の現状についてまとめてみました。

今年の8月ごろに、「8割以上の人、スマートフォン専用サイトの必要性を感じていない」というアンケート結果が話題になっていました。実は、このアンケートは記事本文よりもはてなブックマークのコメント欄のほうが参考になります。そこで、本日時点のブコメの内容をまとめてみました。

スマホサイト

  • 一人しか言及されていない内容は除外
  • 一人の人が複数の視点について言及している場合は別々にカウント

という方法で集計・分類した結果、201人分のコメントになりましたので、スマホサイトに関心のあるはてブユーザー(の一部)は、スマホサイトの現状をどう感じているのか。現状や不満の声をランキング形式でまとめてみました。

集計人数に多少の誤差があるかもしれませんが、私の基準で分類していますのでご了承ください。人数の関係で中途半端ですが、12位から発表していきます。人数が同じ場合は同じ順位としてカウントしています。

第12位:PCサイトは重い(2人)

「重くないPCサイトを作ればいい」
「PC版サイトが押し並べて重い」

まず、スマホからPCサイトを見た時の「重さ」が気になるようで、重くなければPCサイトで問題ないという意見です。確かに、表示速度はユーザーのイライラや離脱の原因になりますので、それが成約率にも関係してきます。

また、Googleは、「スマートフォンサイト」の表示が遅いサイトは「設定ミス」として、検索順位を下げると発表しています。(参考:スマートフォン向けサイトの高速化を目指す、モバイルはサーバー接続だけで0.6秒もかかる from #SMX Advanced 2013 | 海外SEO情報ブログ

「PCサイト」をスマホで閲覧した場合に検索順位に影響は出るのか不明ですが、どちらにしても表示速度が速いに越したことはないですよね。

第12位:Web屋のセールストークでしょ(2人)

「ユーザーのためなフリして売る側の論理」
「ガラケー向けサイト作ってたWeb屋が仕事なくなるから無理やり広めた」

という、「スマホサイトは制作側がひと儲けしようとしているだけでしょ?」という意見です。確かに、

「これからはスマホ対応サイトじゃないと時代に乗り遅れますよ!」
「GoogleがレスポンシブWebデザインを推奨してますから~」
「レスポンシブWEBデザインはSEOに有利です!」

的なアピールをしているWEB屋さん、情報商材屋さんも見受けられます。一方で、SEO屋さんはレスポンシブWEBデザインにするかしないかで「検索順位そのものには影響しない」と言っています。(参考:[SEO] レスポンシブウェブデザインと別サイト(URL)、どちらが検索順位が上がりやすい?::SEM R (#SEMR)

そもそも、今回のアンケートは「スマートフォン専用サイト」についてです。レスポンシブWEBデザインは「スマートフォン専用サイト」とは違います。なので、レスポンシブWEBデザインがもっと一般化した時に、レスポンシブWEBデザインの必要性についても、再度アンケートを取る必要があるのではと思いました。

第11位:有料記事への誘導が憎い(3人)

「スマフォ版で記事見るなら金払えってサイトが出てきて、憎しみに変わった」「この先は有料でとかそんなゴミが多い」

何やら、続きを読むには購読料を請求するスマホサイトが増えているようです。実は、これはスマホサイトに限った話ではなくて、PC版のYahoo!ニュースでも有料課金サービスが始まっています。(参考:ニュースも課金時代へ ヤフーと朝日新聞が有料配信:日本経済新聞

これは広告がクリックされにくくなって、収益源が減っているからでしょうか?そうだとしたら致し方無い部分もありますが、PC版は無料なのにスマホ版だけ有料だとしたら、スマホユーザーの反感を買いますよね。

第11位:Appleはスマホサイト用意してないよ?(3人)

「Appleさんのサイトが対応していないくらいだから必要ない」

という意見もありました。Appleがスマホサイトを作らない理由について、考察しているブログもあります。(参考:pxt | 考察:Appleはスマホサイトを作らない。

ただ、私個人的にはAppleのサイトをスマホで見ると、拡大した時にどうしても横のスクロールが発生してしまって、見やすいとは思えないのですがどうなのでしょう?

第11位:楽天のスマホサイトが問題(3人)

「楽天市場が最悪に嫌だ。おすすめ商品だけ買いやすい仕様」
「楽天ショップのスマホサイトはどれも見づらくて酷いからこういう回答結果になる」

今回のアンケートは「楽天リサーチ」を利用しているから、必然的に楽天市場に不満を抱えている人が多くてスマホ不要というアンケート結果になった。という指摘がありました。

ただ、私個人的にはスマホで楽天市場を見ても特に問題はないように感じます。一旦、PC版に切り替えるとスマホ版に戻れないくらいで、これと言った不便さは感じませんでした。むしろAppleのほうが・・・。

第11位:スマホサイト滅びろ(3人)

「滅びればいい」
「スマフォ向けレイアウト滅べ」

理由はわかりませんが、とにかくスマホ向けサイトの滅亡を叫んでいる人がいました。よほどスマホサイトの現状に対して不満や憎しみがあるという現れでしょう。確かに、スマホが躍進してきたことで、運営者側・制作者側はスマホ対応する手間が新たに発生して、面倒だなというのは感じています。

第11位:無駄なページ分割やめて(3人)

「ページ細切れ次へ地獄」
「無駄にページ分割されると腹が立つ」

読み込み時間を短縮を狙ったものなのかわかりませんが、ページが分割される仕様に不満を抱いているようです。これはスマホ用サイトに限らず、PC用サイトでも同じことが言えます。ニュース系サイトでよく出くわします。なので、「AutoPagerize」などの拡張機能は私的には必須です。

ただし、オートページャー機能を使っていると、記事部分が延々と読み込まれて、フッターなどそれより下にあるコンテンツが見れないサイトに出くわすことがあります。あれは逆に困ります。

第10位:スマホ専用サイトを理解できているの?(5人)

「スマホサイトをみてることに気づかない人が多い」
「スマホ専用サイトというのを本当に理解して回答してるの?」

確かに、一般の人は「スマホ専用サイト」とはどういうものなのかを、わかっている人は少ない気がします。携帯(ガラケー)からスマホに乗り換えた人なら、スマホ専用サイトがPCサイトだと思っている人もいるかも知れません。

スマホ専用サイトだと思っていたら、「レスポンシブWEBデザイン対応のサイト」だったというケースもあると思います。

第10位:タブレットなのにスマホ版が表示されるとイラっとする(5人)

「iPadなのにスマホ用ページに飛ばされてがっかり」
「タブレットがデフォルトでSPになるのは殺意を覚える」

iPadなどのタブレット端末の場合、スマホサイトが表示されるとユーザーの不満が大きいようです。確かに、タブレット専用のレイアウトは不要かなと思います。私はタブレットは持っていませんけど。

第9位:はてぶのスマホサイトが使いにくい(6人)

「はてなのスマホサイトは要らない」
「はてブのスマホサイトは見にくいし使いにくい」

はてなブックマークのスマホサイトに対する不満の声が挙がっていました。私はスマホではてなブックマークを利用することはないのでよくわかりませんが、リニューアル後のPCサイトのほうは未だに使う気になりません。Hatebu::Classicを使っています。

はてブの公式サイトをスマホから見てみましたが、縦に一覧表示されていますので、個人的には昔のはてブPCサイトに近くて、今のPC版よりは見やすいと思います。

第9位:ユーザー層による(6人)

「ITリテラシーや、日頃PCを使う度合いによる」
「サイトのターゲット層によって異なる」
「業種によっても違うから」

確かに、普段パソコンをバリバリ使っている人と、スマホしか使わない人では、スマホ専用サイトへの感じ方も異なってくるでしょう。スマホで見るサイトはYahoo!ニュースくらいで、あとはメールとアプリだけという層もいると思います。そういう層なら「パソコンサイトは不要」と感じるはずです。

業種・ジャンルによって、スマホからのアクセスが多いサイトと、まだまだPCからのアクセスのほうが多いサイトがありますので、一括りにしてスマホサイト不要論を唱えるのは無理があるかも知れないですね。

第8位:拡大できないのが不便(7人)

「画像とか文字が拡大できないのでイラッとする」
「拡大縮小できなくしているのは余計」
「拡大できなくすんのやめろや。うちの老眼のばあちゃんが大迷惑してんだ」

スマホの便利機能として、ピンチアウト(拡大)、ピンチイン(縮小)というタッチ操作がありますが、大概のスマホ専用サイトだとこの便利機能を使うことができません。制作者側は「わざわざそんなことをしなくても見れる」と配慮して作ったつもりが、逆に不満に感じてしまうユーザーもいるようです。

年配の人もそうですが、若い人でも拡大して見たいことがあると思います。特に、男子中高生は色々と拡大して見たい画像があるでしょうから、彼らにとっては嫌がらせでしかないはずです。

第7位:スマホは広告がうざい(8人)

「飛び回り本文が読めなくなるバナー」
「PC版より邪魔な広告を見るハメに」
「広告を押してもらうにはスマホサイトの方がいい」

広告が表示されるタイプのアクセス解析を導入している場合、スマホから見るとフローティング広告が表示されます。スクロールしても常に追いかけてくるので、さもその広告をクリックして欲しいかのような印象を与え、サイト運営者側からしても困った存在です。(当ブログはGoogle Analytics先生を使っているので、その心配はありません)

また、スマホサイトの場合、アドセンス広告の占拠スペースが画面の半分近くを占めることがあります。これはクリックして欲しい運営者側には良いかも知れませんが、コンテンツを読みたいユーザー側からしたら邪魔な存在です。

第6位:URLが変わるとはてブしづらい(9人)

「URLがPC向けと違うのが困る」
「はてブのURLが変わってしまうのでいつもPC版しか見てない」
「はてぶするURLが変わるからスマホ用サイト嫌ーい」

私はスマホからはてブを使ったことがないのでよくわかりませんが、URLが変わるタイプのスマホ専用サイトは、はてブユーザーから不評のようです。

はてブする時に限らず、URLが変わるタイプのスマホ専用サイトは、ソーシャルメディアのカウント数も分散されるのがよろしくないですね。なので、URLが変わるタイプのスマホ専用サイトは私的にはナシだと思っています。

第5位:PC版ボタンで切り替えています(13人)

「大抵PCサイトに切り替えて見てる」
「切り替えできるのがベスト」
「どっちも見れるっていうのはいいことだ」

スマホ版サイトが表示されたら、PC版に切り替えて見ている人が結構いるようです。ユーザー自身で切り替えができる仕様は満足度が高く、逆に、PC版への切り替えボタンが付いていないと不満を抱くようです。ユーザーが閲覧環境を自由に変えられるのは親切なサイト設計な気がします。

第5位:スマホ専用サイトって本末転倒(13人)

「PCサイトをそのまま見れるのがスマートフォンのメリットだろ」
「ガラケーじゃないんだから」
「モバイルサイトが嫌でスマホに変えたんだ」

こちらはPC版に切り替えできるかとかの論点ではなく、「PCサイトを見るためにスマホを買ったんだ」という層です。ガラケーと違って、PCサイトもスムーズに見れることに期待したのに、PCサイトが見れないなんてあり得ないという不満爆発です。

第5位:スマホでPCサイトなんてイライラする(13人)

「スマホでPCサイトなんて基本使う気になれない」
「スマホでPC表示されるといらっとする」
「スマホではスマホ専用サイトのほうが見やすいんだけど」

今度は真逆で、スマホでPCサイトが表示されると不満を抱く層です。イライラやストレスを感じてしまうようです。特に、文章主体のニュースサイトでは、スマホ最適化して欲しいという意見が複数ありました。更新頻度の高いブログも同じことが言えるのかなと思いました。

第4位:PCサイトのままで問題ない(14人)

「PCサイトを自由に拡大・縮小できたほうが使いやすい」
「マシなモデルケースができるまで要らない」
「PCサイトだけのほうが統一的なUXを提供できる」

スマホ対応していないことにそこまで大きな不満は抱いてなく、とりあえず今はPCサイトで十分という意見です。「サイドバーを切って拡大すれば十分」という意見もありましたし、PCサイトはユーザーの自由度が高いので、PCサイトのままで事足りているようです。

第3位:母数少なすぎ(21人)

「アンケートとったのがたったの100人」
「もうちょっと母数ほしい」
「2万人くらいに聞いてみて」

元記事アンケートの調査対象人数の少なさに対して、疑問・不満のコメントが多く寄せられていました。確かに、2013年9月末のスマートフォン契約数は5,000万件を突破していますので、いくらなんでも100人では少なすぎると思います。(参考:スマートフォン市場規模の推移・予測(2013年10月) – 株式会社 MM総研

となると、当記事のデータ数も全然足りていないことになります・・・。ですが、選択形式のアンケートと違って、自由記述形式のコメントを元に集計していますので、よりリアルな声が聞けるという点で参考になるかなと思っています。私は非常に参考になりました。

第2位:ものによる(31人)

「スマホ化に失敗してるサイトが多いだけ」
「スマホ専用サイトの大多数がイケてないというだけ」
「ただスマホレイアウトにしただけなら不要」
「モノによってはスマホからの閲覧に最適化されてるのもある」

「スマホサイトの出来次第」という声が多く見られました。現状では、まだスマホサイトのベスト構成が定まっていないので、見よう見まねで何となくスマホ対応した風のサイトが多く、ユーザーが有用性をあまり感じられないサイトが多いようです。

ただ単にスマホのレイアウトに合わせただけではなく、本当に「正しくスマホ最適化されたサイトなら良い」「ちゃんとモバイルファーストしろ」という意見もありました。

PCサイトのおまけ的な位置づけではなく、本気でスマホサイトを作らないと、スマホユーザーから本当の満足は得られないということですね。そう考えると、Google先生推奨のレスポンシブWEBデザインは、本当にユーザーの満足を得られるものなのか疑問が残ります。

第1位:機能や情報量が減っているのが問題だ(32人)

「PC用サイトからいろいろ削ってる」
「スマフォ版=シンプルにするんでしょ?=アホ」
「無駄に字でかくて情報量すくない」
「機能限定版であることが多い」

現状のスマホサイトの問題点として、「PCサイトの劣化版」のような印象を与えていることに対して、最も多くの指摘がされていました。確かに、スマホサイトをPC版に切り替えたい人達は、見やすさよりも情報量の「不足」を感じているからだと思います。見やすさだけならスマホサイトのほうが良いはずなので。

特に、アコーディオンメニューを使って、PCでは表示されていたコンテンツを「隠す」のがスマホサイトの主流になっていますので、情報量の少なさを感じてしまうのは当然だと思います。サイドバーがなくなるのもその原因の一つだと思います。

かと言って、隠さないで全部表示させるとなると、縦にものすごい長いサイトになってしまいます。元々1枚もののランディングページならそれでも問題ないですが、2カラム、3カラムのサイトやブログだと違和感を感じる人も多いはずです。

悩ましい問題です・・・。

結局、スマホ用サイトはどうあるべきなのか?

私はスマホサイトの研究家でも専門家でもありませんし、ユーザー側から真逆の意見が飛び交っている現状を見ると、何が本当に正解なのかは正直わかりません。

コメントを寄せていた人は、はてブユーザーということで、ITリテラシーの高めの人が多いはずですので、一般層に聞いた場合はまた違う結果になるかも知れません。別の6万人の調査データでは、年代・性別ごとに特徴が出ているのも事実としてあります。まだ市場も熟していないですし、結論が出るのは数年先かなと思います。

参考:スマホのWebブラウジングへの不満に男女差、対象ユーザーに合わせた改善がポイント | スマートフォンレポート vol.5-1 | Web担当者Forum

【以下、お知らせ】
ということで、当ブログで使用しているWordPressテーマ「メシオプレス01」は、現在スマホ対応を含めたバージョンアップ作業中ですが、

  • PC版への切り替えボタン付き
  • モバイルファースト感覚で作り込めるようにする

この2点は最低限の項目として、ひとまず採用することにしました。

一方、サイトアフィリエイト用のWordPressテンプレート「メシオプレス02」では、PC表示のままで、文字を見やすく、ボタンやリンクを押しやすいいわゆる「ファットフィンガー対策」で対応することにしました。

というのは、スマホで買い物を諦めてしまう理由として、「フォームの入力が面倒くさかったから」が第一位に上がっている調査データがあります。(参考:スマホショッピングをしない理由、「フォームの入力が面倒くさい」が最多 | マイナビニュース

つまり、広告主サイトの申し込みフォームがスマホ最適化されているかが最も重要であって、アフィリエイトサイトは文字が見やすく、ボタンやリンクが押しやすければ十分では?という判断です。実際、PC表示のままでもスマホから普通に成果が発生しています。

また、スマホの契約数は2014年に過半数に達して、2018年3月末には8924万件となると予想されています。(参考:2017年のスマホ契約数は9000万件規模――MM総研のスマホ市場予測 – ITmedia Mobile

なので、ニュース性・更新頻度の高いブログは別にして、アフィリエイトサイトの場合はスマホ市場がもっと熟して、検証データが揃ってから本気で対応を考えても遅くはない気がします。まだ契約数が過半数に達していない2013年に下手にスマホ専用サイトを作るよりも、今は広告主のLPに移動しやすい配慮をしておけば十分かなと判断しました。

スマホ市場の伸長ペースや、ユーザーさんの声によって考えは変わるかも知れませんが、現時点での私のスマホ対応への考え方はこんな感じです。

●本日のまとめ
スマホサイトに関心のあるはてぶユーザーの間では、「スマホからPCサイトが見れないのは本末転倒」「PC版切り替えボタンを用意して」「機能制限版なのが問題」など、現状のスマホサイトに満足していない声が多く見られた。


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